TPP交渉記事
信濃毎日新聞 平成23年10月29日(土) 掲載

阿部知事TPP交渉参加反対


 阿部守一知事は28日の定例会見で、野田佳彦首相が前向きな姿勢を示している環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題について、政府の方針や戦略は不明確で国民的な議論も不十分-とし、「現時点で交渉に参加するのは拙速であり、反対」と述べた。

 

 知事は「都道府県に対してほとんど情報提供がない」と述べ、国の対応を批判した。また、中山間地が多い県内では農業の大規模化による競争力向上には限界があるとし、「農業は産業でもあると同時に地域の成り立ちそのもの。そういう点を十分考えるべきだ」と指摘。地方がTPP参加のメリットやデメリットを十分検討する機会がないまま「政府が方針を決めることがあってはならない」と強調した。

 

 知事はこれまで、TPPの交渉参加は農業だけでなく国民生活のさまざまな分野に影響と変化をもたらすなどとして「慎重な対応が必要と述べるにとどめ、賛否を明確にしていなかった。


信濃毎日新聞 平成23年10月30日(日) 掲載  長野県農業経営者協会 会長 伊藤清人

急を要する課題が山積する今、TPPを考えるときではない


 

 社会を構成するさまざまな業界の制度や仕阻みがTPP交渉における検討の対象だというのに、国内的にはその内容が全く知らされず、議論の場さえない。「まず参加しないことには、枠組み作りに関与できない」とか「不利なら途中で離脱すれば」などという者もいるが、いったん交渉に参加すれば、後戻りができない場に踏み出したこととなる。今の日本の立ち位置と将来のあり方を中・長期に見定めることが欠かせないはずだ。


 TPP論議が始まってから、食料の自給率目標はどこかへいってしまった。安全な食品が常に国内で賄えるところに安心があるのではないか。

 

 それにしても、急を要する課題は震災復興と原発汚染の完全復旧であり、恒久的エネルギー確保の国民的合意形成である。次の世代に希望を残せる社会作りが大切であり、今TPPを考えるときではない。